コーヒー大事典

コーヒーの美味しさを知るために、ぜひ植物としてのコーヒーにもご注目ください。第1回は、コーヒーの花と実にフォーカスして、その仕組みなどをご説明します。

コーヒーの木を知っていますか?コーヒーの花と実

開花期間はほぼ2日間。見るのが難しいいわば幻の花

コーヒーの花を見れるのは2日間

コーヒーの木をカタカナで<コーヒーノキ>と書けば、それが正式な日本語名称。アカネ科に属する常緑樹です。コーヒーの木は10メートルもの大きさに育つものもありますが、産地では収穫しやすいよう、2メートル以内で栽培することが多いようです。

コーヒー豆は木の実ですから、花が咲いた後に実ります。コーヒーの花は、コーヒー豆からはちょっと想像できないような、白くて小さな愛らしい花です。5つの花弁があり、ジャスミンのような良い香りがします。作家・林芙美子は「花の命は短くて〜」と書きましたが、コーヒーの花はまさにその通り。ブラジルの農園では、開花の時期になるとコーヒーの花が一斉に開花し、農園がまるで雪景色のように真っ白に染められます。とても幻想的な光景ですが、その美しさを楽しめるのはわずかな時間。2日後には、まるで雪が溶けるように散ってしまうそうです。

ブラジルに住んでいる人でさえ、どこかの農園で「コーヒーの花が咲いた」と聞けば、すぐに飛行機で飛んでいかないと見逃してしまうといいます。コーヒーの花は、それくらい見るのが難しい花なのです。

赤く熟すとさくらんぼに似ていることから、コーヒーチェリーと呼ばれます。

コーヒーの実は、最初は緑色

コーヒーの花が散ると、その後に緑色の小さな実がなります。その実は大きくなるにつれ黄色くなり、さらに熟すと赤く変化。完熟すると真紅色になります。この、完熟したコーヒーの実がさくらんぼに似ていることから、<コーヒーチェリー>とも呼びます。

収穫した実の中を見てみると、一つの実の中にコーヒーの種が2つ、向かい合わせに入っています。しかし、枝の先にできたコーヒー豆の場合、種が一つしか入っていないことも。また、まれに3つの種が入っていることもあります。