コーヒー大事典

コーヒーの成分と私たちの体コーヒーと健康の素朴な疑問

Q1 授乳中にコーヒーを飲んでも大丈夫?

カフェインは、コーヒーを飲む女性の母乳にも含まれることが知られていますが、母乳中のカフェインは非常に微量です。通常の飲用で乳児に害を及ぼすことはありません。なお、カフェインは妊婦の胎盤を通過することが知られていますが、適量であれば胎児に悪影響を及ばさないという研究結果が多数です。

Q2 コーヒーは心臓に悪い?

適度なコーヒーの飲用は、心臓病の発症に関連はないと考えられます。心筋梗塞や重篤な不整脈の既往歴を持つ人を対象とした調査でも、カフェインがいかなる心筋の不規則性も起こさないと報告されています。一部にカフェインに過敏な人もいますが、カフェインは心筋症状を悪化させるということはありませんから、コーヒーが心臓に悪いというわけではないのです。

Q3 コーヒーを飲むと胸やけする?

胸やけは、酸性である胃の内容物が食道に逆流するために起こる不快感です。コーヒーを飲むと胸やけになるという人もいますが、大多数の人はコーヒーを飲んでも、まったく胸やけを起こしません。コーヒーの飲用後に感じる軽度の症状は、直接コーヒーによるものというより、コーヒーを飲む前の食事のせいである場合が多いといわれています。
胸やけを起こすという人は、食事を入念に見直すことによって、原因となる食べ物を突き止められるかもしれません。

Q4 コーヒーを飲むと血圧が上がる?

習慣的にコーヒーを飲んでいる人は、コーヒーを飲んだからといって血圧が上昇することはありません。コーヒーを一定期間飲んでいない人の場合、ほんのわずか(数ミリ)な血圧の上昇が見られますが、これは活発な会話や運動をしたときよりも小さな上昇です。そして、どのような場合でも2~3時間後には元に戻ります。また、コーヒーへの耐性はすぐにできるので、コーヒーを普段から飲んでいる人の血圧が高いということはありません。

Q5 コーヒーには中毒性がある?

「中毒」という言葉は、「習慣性」という表現のほうがより正確な場合にも、しばしば用いられます。コーヒーを飲み続けても、カフェインを長期間にわたって増量する(中毒性物質に特有の性質)ことはなく、適度な摂取を保ったり調節することができます。世界保健機関(WHO)が定める分類においても、中毒物には指定されていません。ごく一部の人に、急にコーヒーを止めると軽い頭痛のような弱い離脱症状を経験する人がいますが、このような症状は長引くことはなく数日で消えます。

Q6 夕方以降にコーヒーを飲むと、睡眠の質が悪くなる?

コーヒーのカフェインが睡眠の質や、睡眠段階のいずれかに影響を及ぼすという根拠はありません。ただし、一部の人では、就寝前にカフェインを摂ると、弱い興奮作用が出ることもあり、眠りにつくのを妨げられることがあります。敏感な人は、夕方以降にはカフェイン抜きのコーヒーを飲むようにするとよいでしょう。

Q7 運動前のコーヒーで運動能力が向上する?

コーヒーに含まれるカフェインは、運動能力を向上させることが知られています。特に中程度から強度の運動についてその効果が表れ、疲労までの運動持続時間が延びることがさまざまな実験で確かめられています。
カフェインがなぜ運動能力を向上させるかについては諸説ありますが、その1つは脂肪組織の分解を促進するからであるといわれています。脂肪が分解され、運動のための直接的なエネルギーとなる糖の状態になるため、運動持続時間を延ばすといわれているのです。
ちなみに国際オリンピック委員会は(IOC)は、2004年1月、カフェインを摂取禁止物質から除外しています。

このページのコメントは、(社)全日本コーヒー協会「コーヒーとからだのおいしい話」より抜粋