コーヒー大事典

私たちが普段楽しんでいるコーヒーには、実は深い歴史があります。そんな知られざる歴史をご紹介するコラム。VOL.4では、日本に入ってきたコーヒーが、広く人々に親しまれるまでをご紹介します。

1901-1970年コーヒーの歴史 日本で喫茶店が次々開店

日本で初めての本格的な喫茶店は、1888年(明治21年)に、東京下谷黒門町に開業した<可否茶館>でした。その後、浅草や大阪などにも喫茶店ができはじめ、1911年には、銀座に<カフェ・プランタン><カフェーパウリスタ><カフェライオン>の3つの喫茶店が次々とオープンし、有名になりました。単にコーヒーを楽しむだけでなく、ハイカラな文化人たちが集い、文学や芸術、西欧の思想などを論じる社交場として栄えました。この頃から日本でも、コーヒーが広く人々に愛されるようになりました。

コーヒー歴史年表

1908 ドイツのメリタ・ベンツ夫人がペーパードリップ方式を考案。
1911 東京銀座に洋画家松山省三の「カフェ・プランタン」、水野龍の「カフェーパウリスタ」、「カフェライオン」<精養軒>が開店。
1938 戦時体制の強化で輸入規制、コーヒー豆の輸入量は前年の半分に。
1945 コーヒー豆不足が5年後の輸入再開まで続き、コーヒー豆は貴重品に。
1950 コーヒー豆の輸入が再開。
1956 インスタントコーヒーが初めて輸入許可、国産のエスプレッソマシンが初登場。
1960 コーヒー豆の輸入が全面自由化。国内メーカーがインスタントコーヒーの製造を開始。
1961 インスタントコーヒーの輸入が全面自由化。インスタントコーヒーブームがスタート。
1962 第一次国際コーヒー協定<ICA>設立

コーヒー・トリビア

ブルーマウンテンは日本でだけ人気者!?

コーヒー豆でブルーマウンテンというと、高級という印象が強いのではないでしょうか。ブルーマウンテン、通称ブルマンは、カリブ海に浮かぶジャマイカ島産のコーヒーです。日本国内のコーヒー店でブルーマウンテンを買おうとすると、かなり高い値段になります。

ところが、日本以外の国では、ブルーマウンテンはそれほど人気がありません。そして驚くべきことに、ジャマイカ産のコーヒーの95%は、日本に輸出されているのです。

では、なぜ日本だけ「ブルマンは高級」という「ブルマン神話」ができあがったのでしょう。

実はこれには、売る側のある作戦がありました。ブルーマウンテンが初めて日本に入荷されたのは昭和12年ごろ。量はわずかであるにもかかわらず、高額な取引だったため、高い値段で売ろうと苦肉の策で考え出されたのが<英国王室御用達>というキャッチフレーズです。当時ジャマイカはイギリス領だったため、「多分イギリス王室でも飲んでいるだろう」という勝手な推測で、いわばはったりの宣伝文句が考え出されました。作戦は大成功し、当時ブルーマウンテンは売れに売れたそうです。