コーヒー大事典

コーヒー豆の種類や特徴から、収穫・加工・ブレンド・焙煎の方法まで、コーヒー豆がレギュラーコーヒーやインスタントコーヒーなどの製品になるまでの、一連の流れをご紹介します。

コーヒー豆AtoZ収穫

豆を手摘みする場合、赤く完熟した実のみをとっていきます。

手摘みと機械、二つの収穫方法

コーヒーの育成は、まず種となる種豆を苗床やポットに植えて、発芽させるところから始まります。発芽した種豆は、6ヶ月ほどで農園に定植。順調に育てば約3年半で人の腰くらいの高さまで生育し、成木となります。成木になったコーヒーの木は、やがて白い花を咲かせ、その後に緑色の実を付けます。これがコーヒーの実です。実は数ヶ月かけて熟成し、赤く色づいたら収穫のタイミング。熟した実は、その外見から<コーヒーチェリー>とも呼ばれます。成木となったコーヒーの木は、その後、人の背ほどに大きく育ち、それに合わせて収穫量も増加。約6年〜10年の間が収穫のピークとなります。ピークを過ぎると、収穫量は徐々に減っていくのが一般的です。

コーヒーの実を収穫する際には、大きく<機械摘み>と<手摘み>の2つの方法があります。<機械摘み>は、コーヒーを収穫するための専用の機械で、効率良く摘み取る方法です。この機械は、ガソリンスタンドにある洗車機を縦長にしたような形状で、人の背ほどあるコーヒーの木をすっぽり覆うほどの大きさ。内部では、洗車機と同様に、金属製の細い棒が無数についたブラシのような装置が回転し、コーヒーの枝をしごくことで実を収穫します。ただ、この機械は平坦な土地でしか使用できないという難点も。

もう一つの収穫方法である<手摘み>は、文字通り、人の手一つひとつ摘み取っていく方法です。機械摘みよりも丁寧に収穫することができます。有名な産地の一つであるコロンビアでは、コーヒー農園の多くが勾配のきつい山中にあることから、収穫に機械を使うことはできず、手摘みが中心です。降り注ぐ日差しのもと、山岳地帯の急な斜面での収穫作業は非常に過酷ですが、完熟した豆だけを一つひとつ、手間をかけて丁寧に収穫するコロンビア産のコーヒーは、数あるコーヒー豆の中でも多くの愛好者がいます。一方で、広大なブラジルの農園で手摘みする際は、未熟成の緑色の豆も一緒に収穫することが多いそう。これは、ブラジルの農園は広大なため、一つひとつ成熟した豆を選びながら収穫していては作業が終わらないから。コーヒー豆の収穫方法にも、それぞれのお国柄が伺えるのは面白いですね。